最近の研究では、オリーブの収穫量と品質を向上させるために、洗浄工程で加熱することを推奨しています。
ほとんどのオリーブ生産者は、オリーブの実を冷蔵保存して出荷しています。冷蔵は細菌の成長を遅らせ、醗酵を止めるのに役立ちます。
しかし、冷えたオリーブを適切な加工温度にすることは、誤差が少ないため、難しいことです。
オリーブオイルの加工は、まずオリーブをすりつぶしてペースト状にする「ミリング」から始まる。このペーストをマラクサーという機械に流し込み、ゆっくりと撹拌・混合する。マラキシングにより、油滴が集まって大きな液滴となり、歩留まりが向上します。
マラキシングでは、温かいペーストの方がより多くのオリーブオイルを生産することができます。しかし、この余分な熱は、望ましいポリフェノールを分解することにつながります。
また、オイルが酸化し、保存期間が大幅に短くなる可能性もあります。欧州連合の法律では、「エキストラ・バージン」と表示されたオリーブオイルは、27℃以上ではマラキシングできません。
ペーストが冷たすぎると、オイルの収量と品質の両方が損なわれます。低温での抽出は、エキストラバージンオリーブオイルに香りや味、健康効果を与えるフェノールが少なくなってしまうのです。
2019年のイタリアの研究では、20℃で焙煎したオリーブのオイルは、27℃で焙煎したオリーブのオイルより25%少ないフェノールを含んでいることがわかりました。
この問題に対する代表的なアプローチとして、オリーブペーストを温めることが挙げられます。超音波やマイクロ波によるヒーターや熱交換器がありますが、資金や設置費用、エネルギー消費コストなど、大きな投資が必要です。
スペインのInstituto de la Grasa(脂肪研究所)植物製品生化学・分子生物学部門の研究者であるEddy PlasquyとJosé María García Martosは、代わりに、オリーブを破砕する前に温めることにしました。
オリーブは砕く前に、汚れや化学物質、農薬を取り除くために、工業用の浴槽で洗われる。この洗浄に使われる水は、通常10℃から12℃のものです。
プラスキーとガルシアは、冷たい水の代わりに、25℃から40℃に温められた工業用浴槽にオリーブを浸した。
冷たいオリーブの実を砕いたペーストは、マラクセーション中に12.1℃から17.6℃の間にしか達しなかった。温水に15~45秒浸したオリーブのペーストは、常に27ºCに達していた。
温水タンクは、現在利用可能なソリューションよりもはるかに安価でエネルギー効率に優れています。また、オリーブ工場の洗浄槽の加熱は、生産ラインを停止して新しい機器を設置するよりもはるかに簡単です。
Spanish Study Suggests More Effective Way to Transform Cold-Stored Olives
おもしろい研究だが、おそらくcultibaのように、収穫したその日に搾油まで終わらせてしまうトップクオリティのエキストラバージンの話ではなく、収穫日と搾油日が異なる場合のマス向けエキストラバージンを前提にしていると推察できる。
温めると言っても、いわゆるコールドエキストラクションの範囲内にとどまっているので、言葉による誤解を避けねばならないことに注意が必要だ。
参考までにcultibaでは、24℃で30〜40分が基本設定である。外気の影響を軽減するために、わざわざ日が暮れるまで待って、それから搾油に移るのである。
トップオブトップのブランドでは、収穫時点から進む酸化に対して、収穫ー搾油間の時間を1分1秒を争って減らしている。この点の塩梅に関しては、南部の人間らしさが垣間見え、個人的にも見解に迷いが出る部分だ。
結果的にcultibaでは、収穫日に搾油するという緩やかな基準を徹底することで、安定して酸度0.2未満のトップクオリティと言って差し支えのない品質を保っているが、まだまだトップオブトップを目指す改良の余地はあると言える。
一部の農園管理を請け負って、日本人的なシビアな基準のもと、実験的にトップオブトップ作りに挑戦することも有意義に感じるので、これも視野に入れて活動をしようと、そう思うに至るニュース記事でした。
たけもとりゅうじ
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