081. 鬼に金棒と言えるほどに強力な抗酸化物質ポリフェノール

ポリフェノールは、EVOOをより優れたものにする強力な抗酸化物質

一価不飽和脂肪は、オリーブオイルが心臓によいことを示す主な要因の1つですが、その他にもさまざまな利点があります。

米国農務省研究局の植物生理学者Nasir Malik氏によると、オリーブオイルの健康効果の99%はポリフェノールに起因しています。

ポリフェノールは、数種類の植物に含まれる有機化学物質の総称で、強力な抗酸化物質として機能します。8000種類以上のポリフェノールが確認されており、エキストラ・バージン・オリーブオイルのには25種類ものポリフェノールが含まれています。

長年にわたる何百もの研究により、ポリフェノールは、前立腺がんや乳がんのリスクの低下から、認知症の影響の緩和まで、さまざまな効果をもたらすことが明らかになっています。

エキストラ・バージン・オリーブオイルの健康効果について、最新の研究はどのようなことを述べているのでしょうか？

オリーブオイルの健康効果に関する新しい研究は、公的資金を提供する団体と民間団体の両方によって、常に発表されています。このトピックに関する膨大な情報を解析するために、以下に最も重要なポイントをいくつかご紹介します。

エキストラバージンオリーブオイルと心血管系疾患

世界保健機関（WHO）によると、心血管疾患は世界的な死因の第1位です。

2019年だけでも、心臓発作や脳卒中などの心血管疾患が原因で、推定1790万人が死亡しました。世界保健機関は、その年の世界の死因のほぼ3分の1が心血管疾患であると推定しています。

しかし、2020年4月にJournal of the American College of Cardiologyに掲載された研究では、毎日テーブルスプーン半分（8.8ミリリットル）のオリーブオイルを摂取するだけで、心臓病にかかるリスクが14％低下すると結論づけられました。研究者たちは、9万3千人の成人の健康データと食事データを24年間モニターして、この結果にたどり着きました。

参加者が摂取したオリーブオイルのグレードを知ることはできないとしながらも、この効果はエキストラバージンオリーブオイルからもたらされた可能性が高いとしている。

エキストラバージンオリーブオイルの摂取は、いくつかの重要な方法で心血管系疾患に罹患するリスクを低下させるのに役立ちます。

エキストラバージンオリーブオイルは内皮機能を改善する

2021年2月にイェール大学のイェール・グリフィン予防センターが発表したある小規模な研究では、高ポリフェノールのエキストラバージンオリーブオイルの摂取が、2型糖尿病に罹患するリスクのある成人の内皮機能を改善することが明らかにされました。

内皮機能は、血管に血液が送られたときに血管がどの程度拡張するかを測定するもので、心血管疾患の独立した予測因子である。

エキストラバージンオリーブオイルに含まれるポリフェノールは、血管の酸化ストレスを調整し、多くの心臓病や脳卒中患者によく見られる症状である炎症を低下させました。

エキストラバージンオリーブオイルの摂取は血圧を下げる

オーストラリアの研究者による別の研究では、大さじ4杯（60ミリリットル）の高ポリフェノールのエキストラバージンオリーブオイルを摂取すると、末梢血圧と中心収縮期血圧が「有意に低下する」ことがわかりました。

Lancet誌に掲載された以前の研究では、収縮期血圧を下げると、心血管疾患、冠状動脈性心臓病、脳卒中、心不全のリスクが減少することが実証されています。

「悪玉」コレステロールを下げ、「善玉」コレステロールを上昇させる

コレステロールは、血液中を循環するワックス状の物質で、細胞を構成したり、ビタミンを作ったり、ホルモンを生成するのに役立っています。コレステロールには2つのタイプがあります。LDLまたは「悪玉」コレステロールと、高密度リポタンパク質（HDL）または「善玉」コレステロールです。

LDLコレステロールが高いと、動脈硬化として知られる動脈に脂肪が蓄積され、心臓発作や脳卒中のリスクを高めるため、心臓血管系によくありません。

一方、HDLコレステロールは、LDLコレステロールを動脈から運び出し、肝臓に運んで分解し、体外に排出します。

前述の通り、エキストラバージンオリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪もLDLコレステロールを低下させる働きがあります。

しかし、2015年の研究では、エキストラバージンオリーブオイルに含まれるポリフェノールが、HDLコレステロールが酸化ストレスによって傷つくのを防ぎ、LDLコレステロールを動脈壁から運び出す能力を向上させるという重要な役割も担っていることが明らかにされたのです。

エキストラバージンオリーブオイルは、血糖値の調節を助けます。

全世界で推定4億2200万人が糖尿病を患っています。このうち、約90％が2型糖尿病です。

2型糖尿病は、体内の細胞がインスリンに正常に反応しないために、膵臓がインスリンの反応を引き出そうと、より多くのインスリンを分泌し続けることで起こります。

これにより、血糖値が不健康なレベルまで上昇し、心臓病、視力低下、腎臓病など、他の健康問題につながる可能性があります。

糖尿病の治療法はありませんが、エキストラバージンオリーブオイルの摂取は、糖尿病患者の多くの利点と関連しています。

2017年の研究では、ポリフェノールを多く摂取している参加者は、2～4年の間に2型糖尿病を発症する確率が57％低いことがわかりました。

ポリフェノールの摂取が個人の2型糖尿病発症の可能性を低下させた理由の1つは、ポリフェノールがインスリン分泌を促進し、血流から糖を移動させて細胞内に沈着させるからだと思われます。これにより、血糖値が安定するのです。

さらに、15,784人の参加者からなる4つのコホート研究の2017年のメタ分析では、オリーブオイルの摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べて2型糖尿病のリスクが16％減少していることがわかりました。

ポリフェノールが豊富な食事は、空腹時血糖値の低下や耐糖能の向上につながり、いずれも2型糖尿病に罹患するリスクを低減させます。

 

Olive Oil Health Benefits

 

たけもとりゅうじ